医師事務作業補助者の業務制限ガイドライン
1. 絶対に行ってはいけない業務
医療行為に関する制限
- 診断内容の判断や変更: 診断結果を自分で決めたり、変更したりしてはいけません。
- 処方箋の作成や変更: 薬の処方箋を作成したり、変更したりすることはできません。
- 検査オーダーの独自判断での入力: 医師の指示なしに検査のオーダーを入力することは禁止されています。
- 患者への医学的助言の提供: 医学的なアドバイスを患者に提供することはできません。
- 医療機器の操作(医療行為に該当するもの): 医療行為に該当する機器の操作は行えません。
個人情報・セキュリティ
- 権限外のカルテアクセス: 許可されていないカルテにアクセスすることは禁止です。
- 患者情報の院外への持ち出し: 患者情報を病院外に持ち出すことはできません。
- SNSなどでの業務関連情報の共有: 業務に関する情報をSNSで共有することは禁止されています。
- 個人所有デバイスでの患者情報の保存: 個人のデバイスに患者情報を保存することはできません。
文書作成・管理
- 医師の確認なしでの文書の完成処理: 医師の確認を得ずに文書を完成させることはできません。
- 電子カルテの代理入力時の医師以外の署名: 電子カルテに代理で入力する際に、医師以外の署名をすることは禁止されています。
- 診断書内容の独自判断での修正: 診断書の内容を自分で修正することはできません。
- 記載内容の改ざん: 文書の内容を改ざんすることは厳禁です。
2. 業務範囲の明確な線引き
実施可能な業務
- 文書作成補助
- 診断書・意見書の下書き
- 退院サマリーの補助入力
- 医師の指示による文書作成
- データ入力業務
- 医師の指示に基づくカルテ入力: 医師の指示に基づくカルテ入力、検査結果の転記、患者基本情報の登録が可能です。
- 検査結果の転記
- 患者基本情報の登録
- 医療事務
- 診療予約の管理
- 診療録の管理
- 医師の指示による事務作業
要注意業務(医師の直接指示が必要)
- 診療情報の要約作成
- 処方内容の転記
- 検査オーダーの入力補助
- 診断書の内容確認
3. 医療安全のためのチェックポイント
日常業務での確認事項
- 入力・転記時
- ダブルチェックの実施
- 医師の最終確認の徹底
- 入力内容の読み合わせ
- 文書作成時
- テンプレートの適切な使用
- 記載内容の根拠確認
- 期限管理の徹底
リスク管理
- インシデント・アクシデントの報告
- ヒヤリハット事例の共有
- 定期的な業務手順の見直し
4. キャリアアップのための推奨事項
資格・研修
- 診療情報管理士:診療情報管理士の主な業務
- 診療記録の管理: 患者のカルテや診療記録を整理・保管します。
- データ分析: 診療情報を分析し、医療の質向上や病院経営の改善に役立てます。
- 統計分類: 診療情報を国際統計分類(ICD)に基づいて分類します。
- 情報提供: 医療スタッフや行政機関に必要な診療情報を提供します。
- 医療情報技師:医療情報技師の主な業務
- 情報システムの開発・運用・保守: 病院で使用される電子カルテやWeb診察予約システムなどの開発、運用、保守を担当します。
- セキュリティ管理: 医療情報のセキュリティ対策を行い、データの保護を徹底します。
- データ分析: 医療データを分析し、医療の質向上や経営改善に役立てます。
- ユーザーサポート: 医療スタッフがシステムを円滑に利用できるようにサポートします。
- 医療事務関連資格
- 院内研修への積極的参加
知識習得
- 医学用語の理解
- 関連法規の学習
- 電子カルテシステムの操作技能
- 個人情報保護に関する知識
5. トラブル時の対応手順
- 発見時の即時報告
- 上司・医師への相談
- 対応記録の作成
- 再発防止策の検討
- 院内規定に基づく対応
まとめ
役割
- 文書作成補助: 診断書や意見書の下書き、退院サマリーの補助入力などを行います。
- データ入力: 医師の指示に基づいてカルテや検査結果を入力します。
- 医療事務: 診療予約の管理や診療録の管理など、医師の指示による事務作業を担当します。
重要性
- 医師の負担軽減: 医師が診療に専念できるように、事務作業をサポートします。
- 業務効率化: 文書作成やデータ入力を効率的に行うことで、病院全体の業務効率が向上します。
- 医療の質向上: 正確なデータ管理と文書作成により、医療の質と患者ケアの向上に貢献します。
このように、医師事務作業補助者は病院運営において重要な役割を果たしています。