・大阪市平野区の有料老人ホームで2021年に女性職員(当時68)が入居者に殺害された事件をめぐり、遺族が運営会社を訴えていた裁判で、大阪地裁は施設側の安全配慮義務違反を認め、約3940万円の賠償を命じた。
・被害者は介護ヘルパーの女性職員で、21年11月16日の夜に1階事務室で当直中、入居者の男(当時72)に金づちで繰り返し殴られ死亡した。男は直後に自室から飛び降り、死亡が確認された。部屋には他の入居者を襲って自殺する計画が記されたノートが残されていた。
・判決では、男が事件前から問題行動を繰り返し、3日前には別の入居者への暴行が原因で退居予定だったことを重視。施設側は危害発生の具体的な危険を把握できたと判断した。
・さらに、施設が夜勤職員の増員などの対応を怠り、男の行動に関する情報共有も不十分だった点を指摘。その結果、事件との間に「相当因果関係がある」と結論づけた。