人口減少が続く中、地方医療の脆弱化が全国的に問題視されている。離島である佐渡ではその影響がより深刻で、医療・福祉の基盤が急速に縮んでいる。住民の暮らしをどう守るのか、医療関係者と市民がともに向き合うべき局面に来ている。
佐渡市では今年初め、医療と福祉をテーマにした講演会が開かれ、専門家が相次ぐ課題を報告した。人口減少と人材確保の難しさにより、将来的には提供できる医療サービスの範囲が狭まる可能性が高いという。
実際に島内の医療体制は急速に縮退している。かつて6つあった病院は統合や閉鎖が相次ぎ、現在は佐渡総合病院と両津病院の2施設のみ。厚生労働省は2025年時点で約490床が必要と試算しているが、休床や無床化が進み、現在確保されている病床は精神科を含めても約330床と大幅に不足している。
さらに、医療基盤を支える側も厳しい状況に置かれている。佐渡総合病院を運営する組織は連続赤字に陥り、医療機器更新が難しくなるなど経営面での不安が増している。看護専門学校の閉校も決まり、将来の人材確保に影響が出る見込みだ。個人医院でも医師の高齢化が顕著で、地域医療を担う“かかりつけ医”の喪失が懸念されている。
国は40年頃の高齢者ピークを視野に地域医療構想の見直しを進めているが、人口規模が小さい医療圏の運営方針は再検討を迫られている。県もこれを受け、地理的条件を踏まえた新たな医療体制の構築に向けた議論を始めている。
講演会に参加した住民からは「医療も介護も人手が圧倒的に足りない」との声が上がった。佐渡の未来を守るためには、関係者だけでなく地域住民も主体的に考え、支える仕組みを共に作る必要がある。






