出産費用が26年度にも無償化へ 保険適用で地域差解消を狙う厚労省方針
2025年5月15日(木)
・厚生労働省は、出産にかかる自己負担費用の無償化を2026年度にも実施する方針を決定した。
・この方針は有識者による検討会で了承されており、少子化対策の一環として地域ごとの負担格差を是正する狙いがある。
・現在、帝王切開など医療処置を伴う出産は保険適用となっている一方、正常分娩は自由診療で価格差が大きい状態が続いている。
・出産にあたっては、健康保険組合などから50万円の「出産育児一時金」が支給されているが、実際の出産費用には届かないケースが多い。
・保険が適用されれば出産費用が全国一律となるが、産婦人科の収入減少や経営悪化を懸念する声も出ている。
・無償化の方法としては、保険適用による一律化のほか、一時金をさらに引き上げる案も検討されている。
・検討会は「26年度を目標に標準的な出産費用の自己負担無償化を実現すべき」とする報告書を公表し、制度設計を今後進めるとした。
・診療対象の範囲など詳細は今後詰められるが、無痛分娩は副作用リスクがあるため対象外となる見通し。
・報告書では、無痛分娩の安全性確保と希望者が選択しやすい環境整備の必要性にも言及されている。
・2024年度上半期の全国平均出産費用は51万8千円で、物価高の影響などにより年々増加傾向にある。
・都道府県別では、東京都が最も高く64万6千円、熊本県が最も低く40万2千円と大きな差がある。