介護保険の枠組みでは対応しきれない家事支援や病院の付き添いといったサービスを、全額自己負担で提供する「介護保険外サービス」が広がりを見せている。背景には、仕事を続けながら家族を介護する人の増加や、独居高齢者の増加といった社会構造の変化がある。
横浜市に住む100歳女性の例では、大手介護事業者ツクイのスタッフが週に数回訪問し、通院時の車いすサポートや買い物同行、外食などを手伝っている。介護保険では要介護度に応じて使えるサービス量が厳しく決まっており、女性の場合は要介護1のため、デイサービス利用だけで保険適用分が上限に達してしまう。その結果、日常的な外出支援や柔軟なケアには保険外サービスを利用せざるを得ない状況になっている。この女性と同居する次女は会社を経営しており、多忙で介護に十分時間を割けないことから、昨年より保険外サービスを導入した。月額費用が10万円を超えることもあるが、「利用しなければ仕事が続けられなかった」と語り、働く家族にとっての重要性がうかがえる。一方、経済産業省は、就労しながら介護を担う人が2030年には約318万人に達すると試算しており、保険外サービスの市場規模も、2020年の1兆円から2050年には3.3兆円まで拡大すると予測している。しかし、利用のハードルとなるのが費用だ。介護保険では自己負担が原則1割なのに対し、保険外サービスは全額自費となる。利用しない理由として「サービス自体を知らない」「保険適用より高額」という声が多い。
また、サービス品質のばらつきも課題で、不十分な説明や保険未加入といった問題を抱える事業者も存在する。こうした状況を受け、事業者団体はガイドラインを策定し、基準を満たした企業を公表する取り組みを開始。信頼性向上に向けた体制整備が進んでいる。
保険外サービスは高額ではあるものの、柔軟性や個別ニーズへの対応力から、働く家族や高齢者単身世帯にとって重要な選択肢となりつつある。企業による費用補助などの仕組みが整えば、今後さらに利用しやすくなる可能性がある。






