・政府が閣議決定した2025年版の高齢社会白書によると、60歳以上の単身高齢者のうち、家計に「多少心配」または「非常に心配」と感じている人が合わせて41.5%に上った。
・背景には物価の上昇や貯蓄の少なさがあり、経済的な不安を抱える高齢者が多いことが明らかになった。
・内閣府は、将来的な安定収入の確保のため、高齢期の就業や若年期からの資産形成の必要性を強調している。
・三原じゅん子共生社会担当相は、希望に応じた高齢者の就労環境の整備や、個別のニーズに対応したマッチングの強化を重要視している。
・単身高齢者の中では「多少心配」が23.5%、「非常に心配」が18.0%で、家計の厳しさを感じる声が多く聞かれた。
・一方で「それほど心配なく暮らしている」が39.9%、「全く心配ない」が12.8%と回答した人もいた。
・配偶者などと同居している高齢者では、「多少心配」が21.0%、「非常に心配」が7.2%にとどまり、単身者より不安の割合が低かった。
・家族構成に関わらず、経済面での懸念では「物価上昇」が74.5%と最も多く、「収入や貯蓄の少なさ」「将来的な転居や介護施設入居にかかる費用」などが続いた。
・老後の備えとして民間保険に加入していない人は17.2%で、2019年の36.2%から半減しており、生命保険や医療保険への関心が高まっている傾向がうかがえる。
・この調査は2023年10~11月にかけて行われ、全国の60歳以上の男女2188人が回答した。
・単身高齢者の割合は年々増加しており、1980年には男性4.3%、女性11.2%だったが、2020年にはそれぞれ15.0%、22.1%に上昇。2050年には男性26.1%、女性29.3%に達すると予測されている。
・今後は身寄りのない高齢者の増加によって、医療機関への入院や死後の対応など、生活のあらゆる場面で支援体制の構築が求められる。