・徳島大学病院の池本哲也教授らが、1型糖尿病の根治を目指す世界初の治療法で本格的な治験に進む計画を発表した。クラウドファンディングで2000万円の資金を募り、再生医療等製品「TUFF-IPC」の生産体制を整え、2030年頃の提供開始を目標としている。
・1型糖尿病は膵島が破壊されて血糖値を調節できなくなる病気で、日本では約10万~14万人の患者がいる。毎日のインスリン注射が欠かせず、低血糖による意識障害や命の危険も伴う。
・従来の根治療法として膵島移植があるが、日本では臓器提供が極端に不足しており治療はほとんど進まない状況にある。そこで池本教授らは、患者自身の脂肪から幹細胞を取り出し、インスリンを分泌する細胞へ分化させる再生医療技術を開発した。
・皮下脂肪から作製した細胞を培養し、インスリン産生細胞「TUFF-IPC」を構築。これを腹腔鏡手術で腸間膜内に移植し、患者の体内で血糖を調節する仕組みを確立した。
・動物実験では長期間にわたり血糖値を正常化する効果と安全性を確認。2024年10月頃から患者を対象とした治験を開始する予定である。
・現在は手作業で細胞を作製しているが、製薬企業と協力し、2027年までに全自動の培養システムを開発する方針。集めた資金はその体制構築や研究継続に充てられる。
・池本教授は「インスリン注射から患者を解放し、未来を変える治療を徳島から世界に届けたい」と語っている。
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