むくみ改善漢方の作用メカニズムを解明、秋田大が新知見発表
2025年05月15日(木)
・秋田大学の研究チームが、むくみに効果があるとされる漢方薬「防已黄耆湯(ぼういおうぎとう)」の作用メカニズムを科学的に突き止めた。
・防已黄耆湯は腎臓の細胞に存在する特定のタンパク質に作用し、塩化物イオンの輸送を促進することで体内の水分バランスを調整することがわかった。
・この作用により、血管内のイオン濃度が高まり、組織液中の水分が血管内に引き込まれる仕組みが確認され、むくみの軽減に繋がっているとされた。
・研究には佐藤かお理講師、医学科6年の鈴木太郎さん、技術職の酒井彩子さん、沼田朋大教授らが参加し、学部授業のテーマから発展した取り組みとなった。
・実験は秋田大学附属病院で防已黄耆湯を使用していた患者を対象に行われ、塩化物イオンの濃度上昇と関連するタンパク質「VSOR」の活性化が鍵を握っていることが明らかとなった。
・むくみは腎機能の低下やがん、心疾患などさまざまな原因で発生するが、従来は利尿薬による治療が一般的だった。
・防已黄耆湯の仕組みが明確になったことで、西洋薬だけでは効果が出にくい症例にも新たな治療の選択肢として期待が高まる。
・この漢方薬はドラッグストアなどでも手に入りやすく、日常の健康維持に活用できる点も利点となる。
・沼田教授は今回の研究が秋田発の新たな学術的発見として、地域の健康寿命の延伸や製薬分野の発展に貢献していくことを期待していると語った。
・研究成果はアメリカの国際学術誌「ザ・ファセブ・ジャーナル」オンライン版に8日付で掲載された。