AI医療機器の開発に厚労省が本格支援、新興企業の“死の谷”越えを後押し
- 2025.05.15(木)
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・厚生労働省は、AIなどのデジタル技術を活用したプログラム医療機器(SaMD)の開発を目指すスタートアップ企業を後押しする体制を強化する方針を固めた。
・のどの画像を使ってインフルエンザを診断したり、内視鏡映像からがんの可能性を検出するなど、SaMDは従来の医療機器と同様に国の承認が必要で、医師や患者の負担を軽減する新たなツールとして注目されている。
・高齢化により医療現場の人手不足が深刻化する中、SaMDは医療分野における成長産業としての期待が高まっている。
・厚労省は昨年度から医療機器産業の振興拠点整備を進めており、今年度は6月にも全国で約15か所の拠点を選定する計画で、その中の一部がSaMDの実用化支援に特化した拠点となる見込みだ。
・拠点には開発経験を持つ職員が配置され、企業からの研究者を専門人材として育成するほか、臨床試験の実施体制も整備される。
・1か所あたり最大で年1億1,000万円の補助が出る予定で、SaMDの安全性・有効性の検証と並行して、企業からの相談に応じ、課題や評価方法について助言する体制も構築される。
・大手企業やベンチャーキャピタルとの橋渡しも行われ、資金調達や販路拡大、承認取得に向けた戦略の策定も支援対象となる。
・海外ではスタートアップが開発した医療機器を大企業が買収・育成して市場に投入する動きが活発だが、国内では法規制や承認手続きの複雑さが新興企業の壁となっており、支援強化はこうした「死の谷」の克服を目指すものでもある。