・電子カルテの文書作成を生成AIで自動要約するシステムが医療機関で広がっている。従来は医師らが時間をかけてまとめていた情報を即時に整理でき、患者への説明の質向上や転院時の連携円滑化にも寄与している。
・兵庫医科大学病院では、患者との会話を録音し自動で文字起こしした上でAIが要約する仕組みを導入した。要約データはQRコード化され、電子カルテへ転送される。開発したmedimoによると、同様のシステムはすでに1000以上の医療機関で活用されている。
・この導入により、1人あたり10〜15分かかっていた記録作成が数秒で完了するようになった。記録精度の向上に加え、医師が説明を簡潔に整理する意識が高まり、患者理解の促進にもつながっている。
・退院時の要約文書作成でもAI活用が進む。名古屋医療センターでは、富士通Japanのシステムを導入し、退院サマリーを効率化した。年間約1万6000件に及ぶ書類作成の負担が軽減され、1件あたり28分から8分へ短縮、人件費削減も見込まれている。
・同様の仕組みはJCHO大阪病院でも導入予定で、看護師の引き継ぎ文書などにも活用される見込みだ。業務負担の軽減により、医療従事者が患者対応に集中できる環境づくりが期待されている。
・一方で、医療情報は機微な個人情報を含むため慎重な運用が求められる。誤った要約は治療方針に影響を与える恐れがあり、最終確認は医師が行う体制が不可欠とされる。
・院内ネットワークのみでデータを扱うなど情報漏えい対策も講じられている。開発側もAIの誤情報生成リスク低減に向けた検証を重ね、医療文書としての信頼性向上を図っている。
・厚生労働省はAI活用拡大を見据え、安全管理の指針整備を進めている。責任者配置など体制強化を求めている。
・黒田知宏は、生成AIの性能向上が普及の背景にあると指摘する。医療現場の文書作成負担は大きく、その軽減は不可欠であり、今後も導入拡大は続くとみられる。







