遺伝子改変ブタの肝臓で血液浄化へ 米英企業が今夏に臨床試験開始
- 2025.05.13(火)
・米国と英国の企業が共同で、遺伝子を改変したブタの肝臓を用いて肝不全の治療を目指す臨床試験を今夏にも開始する計画を明らかにした。
・この試みは、肝臓機能が低下した患者の血液をブタの肝臓で浄化し、再び体内に戻すという方法で、治療効果と安全性の検証を行う。
・臨床試験は最大20人の患者を対象に行われ、ブタの肝臓は感染リスクや拒絶反応を抑えるために遺伝子を調整した個体から採取される。
・専用の医療装置を通じて、患者とブタの肝臓がチューブでつながれ、血液が装置内で解毒処理される仕組みとなっている。
・この取り組みは、米の「イージェネシス」と英の「オルガノックス」が共同で開発し、4月初旬に米食品医薬品局(FDA)から承認を得た。
・肝不全による入院患者は米国内だけで年間3万5000人にのぼり、死亡率は半数に達する。臓器提供の不足も深刻な課題となっている。
・両社はすでに遺体を用いた実験で、ブタの肝臓が数日間にわたり人間の臓器機能を代替できることを確認している。
・イージェネシスは今年2月までに、ブタの腎臓を2人の患者に移植することにも成功しており、異種移植技術の実用化に弾みがついている。
・同社のCEOは、臓器不全の治療法を革新し、患者の命を救う選択肢を広げることが目標だと語っている。