・富山大学の研究チームが、膵頭十二指腸切除術の安全性を事前に評価できる世界初の手術指針を開発した。
・この手術は、膵臓がんを対象に行われるもので、腹部手術の中でも最も難易度が高いとされている。術後の死亡率は約3%で、胃の全摘や結腸切除といった他の手術よりもリスクが高い。
・手術後の重篤な合併症も多く、これまで実施の可否は明確な基準がなく、多くは医師の経験に頼って判断されていた。
・研究では、65歳以上の患者311人のデータを基に、術後の経過不良に関与する45の要素を検討。その中で特に重要な要因として、「術後の生活動作能力の低下」と「命に関わる重度合併症」の2点に着目した。
・この2つのリスクが共に高いと判定された患者では、術後経過不良の確率は100%に達した。いずれか1つのみ高リスクだった場合も47.4%が経過不良となった。
・逆に、両方の指標が低リスクとされたケースでは、経過不良の発生率は15.7%に抑えられた。
・この指針により、手術のリスクを事前に把握できるため、患者選定や術前準備がより的確に行えるようになることが期待されている。