・熊本大学や国立環境研究所の研究チームが、PM2.5に含まれる炭素成分「ブラックカーボン」が急性心筋梗塞の発症リスクを高める可能性を示した。
・研究は2017年4月から2019年12月にかけて、7都道府県でPM2.5濃度を測定し、日本循環器学会のデータベースに登録された40歳以上の約4万4千人の急性心筋梗塞患者と関連を分析した。
・結果として、PM2.5濃度が7.9マイクログラム増えると患者数が2.4%増加。特にブラックカーボンが0.3マイクログラム増加すると2.8%増え、男性では3.3%、糖尿病患者で4.7%、喫煙者で3.8%とリスク上昇が顕著だった。
・PM2.5の他の成分には明確な関連が確認されなかったことから、ブラックカーボンが心筋梗塞の要因として特に注目される。
・ブラックカーボンはディーゼル排ガスや石炭燃焼、森林火災などで発生する「すす」で、肺に入り込むことで炎症を引き起こし、心血管系への悪影響を及ぼす可能性があるとされる。
・研究チームは、発生源の特定や作用メカニズムの解明が、効果的な健康被害対策につながると指摘している。