大腸がんの半数に腸内細菌の毒素関与か 若年層で特に多く、予防法開発に期待
- 2025.05.22 (木)
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・日本人の大腸がん患者の約5割に、腸内細菌が分泌する毒素が関与した特有のゲノム変異が確認されたと、国立がん研究センターなどの研究チームが発表した。
・この変異は、11カ国を対象とした国際研究で見つかったもので、日本人での割合は他国平均の2.6倍に上った。
・特に若年層の患者でこの変異が多く、大腸がんの発症に腸内細菌の毒素が深く関与している可能性が指摘されている。
・研究チームは、日本人28人を含む981人の大腸がんゲノムを解析し、変異のパターンを詳しく調査した。
・その結果、大腸菌などが分泌する「コリバクチン毒素」による変異が、がんの初期段階に多く見られたことが明らかになった。
・この毒素は腸内の細胞のDNAを損傷し、がん化に至る変異を引き起こすと考えられている。
・50歳未満の若年層では、この変異の頻度が70歳以上の高齢層の約3.3倍に達し、早期発症との関連も示唆された。
・一部の患者では、検査時に毒素を出す細菌が見つからなかったが、過去に一時的に影響を受けた可能性が推定された。
・腸内細菌と食生活や生活環境との関係は未解明で、今後の研究が求められている。
・この毒素の作用を阻害したり、関連する腸内細菌を選択的に除去したりすることで、大腸がん予防の手段となる可能性がある。
・日本では大腸がんの罹患者数が年々増加しており、世界的に見ても患者が多い国の一つとされている。
・研究成果は、英科学誌「ネイチャー」に掲載された。