・がん細胞を狙って光を照射し破壊する光免疫療法が、頭頸部がんを対象にした保険診療としての効果を検証された。
・全国の医療機関で行われた約900例のうち、77例を対象に複数施設で専門医らが有効性と安全性を分析し、照射した部位の6割でがんの縮小や消滅が確認された。
・この療法は、抗体に光反応物質を結合させた薬剤を点滴し、特定波長の光を当てることでがん細胞のみを選択的に攻撃する。
・2020年に日本で頭頸部がんに対して世界で初めて承認され、2021年から保険適用が開始された。
・治療効果の詳細では、照射後にがんが完全に消失した例が37.3%、体積が3分の1未満に減少した例が22.7%で、合わせて6割の症例で有効性が認められた。
・ただし、がんの転移部位や照射していない部位に対する効果は限定的で、全身的な免疫増強作用は確認されなかった。
・安全性については、照射による痛みや腫れが76例中48例に見られ、その半数は重い症状だったが、ほとんどは治療継続が可能な範囲内に収まっていた。
・楽天メディカルは現在、免疫チェックポイント阻害剤と組み合わせた治療法の国際臨床試験を進行中で、全身への効果拡大が期待されている。
・光免疫療法は今のところ頭頸部がんのみが保険適用の対象であり、それ以外のがんに対する自由診療には効果と安全性の裏付けがないとされている。
・日本頭頸部外科学会は、信頼できる治療を受けるために学会が認定する医療機関での治療を推奨している。