・争点となった感覚障害については、他の病気による可能性が排除できない場合、証拠としての強さは限定的と判断した。
・判決は、水俣病の公式確認から70年の節目を前に注目されていた。原告側は判決を不服として上告する意向を示している。
・原告は1950年代半ば前後に水俣市周辺で出生し、2000年代に認定申請を行ったが、2010年代にいずれも棄却されていた。
・裁判長は、魚介類の摂取状況には個人差があり、地域での出生だけで高濃度のメチル水銀曝露を直ちに推定することはできないと指摘した。多くの原告について高濃度曝露は認められないとした。
・さらに、水俣病の潜伏期間を踏まえた上で、原告が主張する感覚障害が幼少期に発症したとは認められず、別の疾患による可能性も否定できないと結論付けた。
・原告側は疫学調査を根拠に、水銀曝露地域で感覚障害の発現頻度が高い点を主張したが、高裁は疫学的知見だけで個別の因果関係を直接判断することはできないとして採用しなかった。
・一方で、新潟地方裁判所が別の水俣病訴訟で疫学的知見を重視した判断を示しており、司法判断の違いも浮き彫りとなっている。
・弁護団は、わずかな不確定要素でも認定を否定する姿勢だと批判した。これに対し、熊本県と鹿児島県の知事は判断が支持されたとして、今後も法に基づき審査を進める考えを示した。