・京都府立医科大学の研究チームが、40歳以上の日本人を対象に、2型糖尿病の10年以内の発症リスクを高精度で予測できるモデルを開発した。
・この予測モデルは、健診で得られる基本的なデータをウェブサイトに入力するだけで、個人のリスクを簡単に計算できる仕組みになっている。
・日本ではやせ型の糖尿病患者も多いため、欧米の肥満型に基づいた従来のモデルでは正確な予測が難しく、国内向けの実用的なツールが求められていた。
・研究チームには、内分泌・代謝内科学、生物統計学の専門家が参加し、実際の健診データを10年にわたり追跡調査してモデルを構築した。
・解析対象は、大手電機メーカーに勤める40歳以上の従業員7万人以上で、初期の糖尿病患者を除いた中から、約5000人が10年内に発症したという実績に基づいている。
・予測に使用するのは、年齢、性別、BMI、収縮期血圧、中性脂肪、HDLコレステロール、ALT(肝機能)、空腹時血糖、体重増加歴、喫煙状況の10項目。
・このモデルを別地域(岐阜県)の住民約1万2000人に適用しても、高い精度を維持したことで、幅広い信頼性が実証された。
・これまでの日本人向けモデルは、観察期間が短かったり対象人数が限られていたりといった課題があり、汎用性や実用性に欠けていた。
・今回のモデルでは、健診で日常的に取得可能な数値だけを使い、食後血糖値など特殊な検査を必要としない点も実用性を高めている。
・2型糖尿病は生活習慣が大きく関与し、日本では全糖尿病患者の95%以上を占めており、早期のリスク把握が合併症の予防に直結する。
・糖尿病は治療の進歩で血糖コントロールがしやすくなっているが、診断が遅れれば透析や失明など深刻な状態に至るため、予防の重要性は増している。
・研究チームは、自分自身のリスクを早期に知ることで行動変容を促し、発症を未然に防ぐ新たな手段として、このモデルの活用を広げたい考えだ。