・神奈川県の母親は、胎児の段階で脊髄の病気が判明した長女が手術を乗り越えて誕生した瞬間を迎え、わが子の無事をかみしめた。
・妊娠中の検査で「脊髄髄膜瘤」の可能性が指摘された。これは胎児の発達過程で脊髄が外に露出する疾患で、日本では毎年一定数の新生児にみられ、出生後に手術しても重い障害が残るケースが多いとされる。
・大きな衝撃を受ける中、妊娠中に治療できる選択肢があることを知る。大阪大学医学部附属病院では、胎児の段階で患部を修復する手術が行われていた。
・この手術は母体の腹部と子宮を切開し、胎児の髄膜瘤を閉じるもので、海外で開発された方法を導入したものだ。神経へのダメージ軽減が期待され、生後に行う従来の手術に比べて、水頭症や運動障害のリスクを抑える可能性がある。
・医師から説明を受けた家族は話し合いを重ね、わが子のためにできる限りの選択をしようと決断した。手術は数時間に及んだが、無事に終了した。
・術後は感染や早産などのリスクがあり、出産まで入院して安静に過ごす必要があった。慎重な経過観察のもと、約2か月後に出産を迎えた。
・誕生した子どもは順調に成長し、乳児期に寝返りを習得し、その後は自力で歩き始めるまでに至った。現在は日常生活を楽しみながら過ごしている。
・この治療は国立成育医療研究センターなどと連携して実施され、これまで複数の症例で出産に至っている。中には手術を回避できたケースや歩行可能となった例も報告されている。
・先進医療として制度上の位置付けも整いつつあるが、母体と胎児双方にリスクが伴う治療でもある。医療側は十分な説明を行い、理解を得たうえで慎重に実施する必要があるとされている。