・わかもと製薬が、近畿地方の病院院長に対し10年以上にわたり社有車で送迎する接待行為を続けていたことが判明し、公正取引協議会から業界規約違反の指導を受けた。
・送迎は2013年から2024年4月まで継続され、同社の支店長や医薬情報担当者が対応していた。
・医薬品の取引に関しては金銭や物品だけでなく、労務や便宜の提供も禁止されており、今回の送迎行為がそれに該当すると判断された。
・取引先院長に対して継続的に便宜を提供していたことから、同協議会は不当な取引誘引とみなし、組織的かつ計画的な違反と認定した。
・この行為により、わかもと製薬にはコンプライアンス体制の見直しと再発防止策の報告が求められた。
・業界規約違反の措置には3段階あり、今回は最も軽い「指導」にとどまったが、過去5年間で指導を受けた事例は2件のみと非常に稀である。
・違反対象が1人の院長に限定されていたことが、指導にとどまった理由とみられる。
・わかもと製薬は、違反の事実についてコメントを差し控えた。一方、公正取引協議会も指導内容については公表していない。
・同社は1929年設立で、胃腸薬「強力わかもと」などを製造・販売し、2025年3月期の売上高は約77億円だった。
・医薬品業界では過去に医師との過度な関係性が問題視され、飲食接待や私的労務提供の規制が進んできた。
・それにもかかわらず、10年以上にわたり違反行為が継続していたことは、ガバナンスの欠如を示しており、企業体質の見直しが急務となっている。
