・熊本県合志市の宮崎さくらさんは、2016年の熊本地震で、先天性の心臓病を抱えていた4歳の次女を亡くした。入院先の病棟に倒壊の危険が生じたため転院を余儀なくされ、その過程で透析が中断し、後に災害関連死と認定された。この経験をもとに、同様の悲劇を防ぐため講演活動を続けている。
・次女は病気を感じさせないほど活発で明るい性格だった。姉と遊び、歌に合わせて踊る日常を過ごしていたが、手術後に合併症が起き、容体が悪化していった。
・回復の兆しが見え始めた矢先に大地震が発生した。本震後、熊本市内の病院から福岡市の医療機関へ救急搬送されることになったが、その移動中は必要な透析を受けられなかった。身体への負担は大きく、容体は急激に悪化し、発災から数日後に息を引き取った。
・治療に尽力した医療者の姿を目にした母親は、その経験を社会に伝える必要性を感じ、「カリンプロジェクト」を立ち上げた。医療従事者や学生に向けて講演を行い、災害時医療の課題を自分事として考える機会を提供している。
・もし災害がなければ適切な治療を継続できた可能性があったと考え、同じ状況を繰り返さないための教訓として語り続けている。次世代の医療従事者に対し、災害時の判断や対応に生かしてほしいと訴えている。
・活動は広がり、災害医療に関わる医師らとも連携しながらこれまでに900人以上が参加した。講演を受けた人の中には、後に被災地で救護活動に携わる者も出ている。
・災害関連死の認定は同年8月に行われたが、その申請過程では詳細な経緯の記録が求められ、大きな精神的負担を伴った。こうした経験から、遺族に配慮した制度の必要性を感じ、2024年には支援団体を立ち上げた。
・自宅には使われなかったランドセルや思い出の品が残され、誕生日を祝う品々が年々増えている。娘の歩みを胸に、親としてできることを続ける決意を強くしている。