・新型コロナ感染後、記憶障害や集中力低下を伴う「ブレーンフォグ」を訴える人が増加していると岡山大病院が調査結果を公表した。感染症法上の位置づけが引き下げられてから約3年が経過する中でも、長期にわたり症状に苦しむケースがあり、継続的なケアの必要性が指摘されている。
・同病院は2021年に「コロナ・アフターケア外来」を開設し、2026年3月までに全国20都府県の1233人を診察した。患者を従来株、デルタ株、オミクロン株に分類し、後遺症の傾向を分析した。
・その結果、ブレーンフォグの発症割合は従来株で15%、デルタ株で24%、オミクロン株では37%と大きく増加していた。一方で、味覚や嗅覚の障害はオミクロン株では約12%と、初期の株と比べて半減していた。
・ブレーンフォグの原因については、体内の炎症の持続やホルモンバランスの乱れが関係している可能性があるとされるが、オミクロン株で増加している理由は明らかになっていない。
・時間の経過とともに症状が改善する例もあるが、現在も368人が通院しており、中には感染から5年以上経過した患者もいる。就労への影響も大きく、半数が休職や退職を余儀なくされ、抑うつ状態の悪化も確認されている。
・感染症の分類は引き下げられたものの、感染の波は続いており、後遺症に悩む患者も減っていないとみられる。
・専門外来では、詳細な問診を重ねて経過を把握し、検査結果と合わせて診断を行っている。後遺症は身体面と精神面が複雑に絡み合うと考えられ、患者に寄り添う長期的な支援が重要とされている。
・後遺症診療の指針作成に関わった専門家も、未解明の点が多い現状を踏まえ、診療と研究の継続の重要性を強調し、長期的な取り組みの価値を評価している。
・ブレーンフォグは正式な医学用語ではなく、頭に霧がかかったような状態を指す。記憶力や集中力の低下に加え、頭痛などを伴うこともあり、日常生活や仕事に支障を及ぼす。
・2022年末に感染した60代男性は、3年以上経過した現在も症状が続いている。漢字が思い出せない、簡単な計算ができないなどの状態が続いている。
・咳などの急性期症状は数週間で改善したが、体調は回復せず、物忘れが増えたことが最初の異変だった。認知症を疑い検査を受けたが異常は見つからなかった。
・仕事に支障が出たため、定年延長を断念して退職した。その後、専門外来を受診し後遺症と診断され、原因が判明したことで一定の安心感を得たものの、回復の見通しは立っていない。
・現在は薬物療法に加え、会話や書字のリハビリを継続している。再就職を目指す中で、同様の症状に苦しむ人への公的支援の必要性を訴えている。